きぃくまー宅

きぃくまー宅HP※詳細確認してね!

【後編】君の気持ち

次の日。

「おはよっ。昨日はよく勉強できたか?」
「おかげさまで。いっぱい賢くなれましたよ。」
「なにそれムカつく。」

朝一からの会話。
いつものように英二とじゃれている。

「柴谷くん、加藤くん、おはよう。」
「池辺さん!おはよう。」
「柴谷くん昨日はありがとうね。」
「いやいやっ!めちゃくちゃ美味しかったよあそこのクレープ」

あははっと英二が可愛く笑う。
なんだ。この二人お似合いじゃん。

「加藤くんもよかったら今度一緒にどう?」
「いや、俺は甘いの苦手なんだ。」
「そうなんだ…。」

少ししょんぼりする池辺さん。
気を遣ってくれたのかな?申し訳ないことしたかも。

「あっもう時間だ。じゃあね、柴谷くん、加藤くん。」
「俺も戻るわ。またな千鶴」
「おう。」

二人は楽しそうに会話をしながら戻っていった。

胸がモヤモヤする。きっと池辺さんに嫉妬しているんだろう。

「俺も子供だなあ…」

そう呟き、机に突っ伏した。


ーーーそれから2週間後

ようやくテストも終わり、ほっと一息ついた。

「千鶴!!テストどうだった?」
「まあ、ぼちぼちかな。」
「いやいやあんだけ勉強しててぼちぼちなわけないでしょ」

英二が爽やかに笑った。
この2週間、ずっと英二と放課後いることを避けていた。
その為、英二は毎日池辺さんと帰っていたようだ。

「テスト終わったし帰るかな。」
「いや、今日は一緒に帰ろうよ。」
「池辺さんと帰るんじゃないの?」
「今日は千鶴と帰るって伝えてるよ」

もう何も言わなくても一緒に帰る関係になったのか。
また胸がチクッとした。

「俺はほっといてもいいよ。今日も一緒に帰ってあげなよ」
「テスト終わったら一緒に遊ぶって約束したよね?」
「あ…。」
「ほら、帰るよ。」

半ば強引に教室から連れ出された。
こんなに強引だったかな、こいつ。
池辺さんと一緒にいたから何か変わったのかもしれないな。


「ところで、俺なんか千鶴に嫌なことしちゃった?」

突然帰り道で英二が俺に問いかけてきた。

「なんで?別に何もしてないよ。」
「嘘だ。だって最近明らかに付き合い悪いし冷たいもん。」
「いや、そんなことないでしょ。これが普通だよ。」
「バレバレだよ。大体甘いもの嫌いって言ってクレープ屋さん断ってたけど、千鶴甘いもの大好物じゃん。」

痛いところを付かれてしまった。
そう、俺は甘いものが大好物なのだ。
よく自分へのご褒美で甘いものを買っていたりする。

「それは…っ」
「何?俺じゃないなら風香?風香が苦手なの?」
「それは違う!苦手じゃないし、むしろ好きな方だよ。」

これは本心だ。池辺さんのことは全く嫌いじゃない。
っていうかいつの間にか名前で呼び合っているのか。

「英二はどうなんだ?池辺さんのこと名前で呼んでるけど、もう関係になったのか?」
「っちがうよ!ただ、風香から名前で呼び合おって言われて…。」
「それでもう名前で呼び合っているのか。」
「そうだよ。友達なんだし普通だろ?」
「まぁ、友達だし普通だけど。けど、向こうは友達だと思ってないかもしれないよ?」


少し俯く英二。
あ、こいつ気づいてるんじゃん。

「もう気づいてるでしょ?明らかに英字にだけ対応違うもんな。」
「そんなことな…っ」
「なくないでしょ。池辺さんかわいいじゃん。別に全然よくないか?」
「……っ」
「英二はどう思ってるんだ?別に嫌いじゃないでしょ?」
「嫌いじゃないけど…。」
「じゃあ付き合ってみたらどうだ?好きになるかもしれないよ。」
「でも…」

俯いていた英二がチラッと俺を見た。
俺のことを気にしてくれているのか?

「俺は別に大丈夫だよ。英二が居なくても全然やっていけるから。」
「本当?」
「本当だよ。だから一回付き合ってみたらどうだ?見える世界変わるかもしれないしさ。」
「そうだね…」
 
英二が少し決心した顔で歩き始めた。
心の中でどうするか決めたのかな。
明日から、いつもの日常が変わるかもしれない。

俺の胸はズキズキと脈を打っていた。


次の日。偶然なのか、池辺さんが英二に告白していた。
もちろん英二の答えはOK。その日から英二と池辺さんは付き合うようになった。

「じゃあ俺帰るわ。」
「おう。千鶴またな。」
「バイバイ加藤くん」

あれからもう、英二からとめられることもなくなった。
学校にいるときは二人でずっと一緒にいる。
それを見ていられない俺は、休み時間になるたび逃げるように教室から出ている。

「何やってんだろ、俺…。」 

勝手に恋のキューピッド役をして、自分だけ傷ついて。馬鹿みたい。
こんなんなら二人を引き剥がしたほうが幸せになれたのだろうか。

「ふっ…」

そんなわけないだろう。俺と一緒にいても幸せになれない。
どうせ、英二はいつか俺のそばから離れていく。そのタイミングが今になっただけだ。

「うっく……うっ………」

俺は静かに泣いていた。
初めての恋。そして、初めての失恋。
今まで溜まっていたものが涙として全て溢れ出ていた。


俺が想いを伝えていたとしても叶わない。
万が一、付き合うようになったとしても。幸せにできない。幸せにする自信もない。
男同士でくっついて何ができる?家族になれないし、子供も作れない。
俺もあいつも、幸せになれないじゃないか。

それなら、幸せになれる道に導いてあげたほうがいい。
好きなやつには幸せになってもらいたい。
そういうものだろう?

「くっ…………はぁ………」

だから終わり。この恋はもうこれで終わり。

静かに始まって、約3年間。
俺の恋は、静かに幕を閉じた。


それからは、二人の普通の友人として過ごしている。
もちろん胸がズキズキする為、今までよりも全然絡まなくなった。
一日一回話すか話さないかぐらいの頻度だった。

しかし、遠くから見るあいつの笑顔を見るだけで救われた気分になる。
あいつが幸せならこれでいいか。とも思える。


あの二人にはいつまでも幸せになってほしい。
俺は祈るようにそう思い、机に突っ伏した。


-END-

コメント:0

作成日2019-08-02 12:12:51

更新日2019-08-02 12:12:51

コメント

コメントがありません。

コメントフォーム

名前:20文字以内
コメント:200文字以内
削除用パスワード:4文字以内英数字のみ
*
*

Copyright © 2016 Okamataku All Rights Reserved.